これからの営業は共創型の「ディスカッション営業」へ

 営業は「ヒアリング営業」と「ディスカッション営業」の2つに分類することができます。

 「ヒアリング営業」は、お客様の課題をヒアリングして対応したサービス提案を持ってくる営業スタイルです。
一方「ディスカッション営業」は、ディスカッションでお客様と共に盛り上がり、気づいたら案件が創られているような営業のことです。

 これからの営業は「共創型」へと向かっていきます。

ヒアリング営業の特徴

 ヒアリング営業は、以下のように説明できます。

  • 顕在化した課題をヒアリングする

  • 課題が顕在化していない場合、SPINで掘り起こす

  • ヒアリングは、自社サービスへの紐付けを狙って行われる

  • お客様も「ヒアリングされたら提案がくる」と思っている(売り込まれたくない場合は、ヒアリング機会となるアポをシャットアウト)

ディスカッション営業の特徴

 ディスカッション営業は、以下のような特徴があります。

  • 「売る側」「買う側」に分かれるのではなく、共に話すイシューがある

  • 具体と抽象の往復運動から、議論の解像度が上がる

  • 解像度が上がることによる発見や知的興奮が、お客様の熱量を上げる

  • アウトプットとしては、営業からの提案書というより「共同企画書」ができあがる

コロナ禍でのお客様の変化

 コロナ禍の影響によって、お客様は必要ないものを買わなくなりました。
そして必要ないものを売り込まれることへの嫌悪感も増しています。
そこをヒアリング営業でこじ開けようとしても、なかなかうまくいかないのです。
「まずはヒアリングさせてください」という営業からのオファーに対して、お客様の腰はつい重くなってしまいます。

 「ニューノーマル」や「DX」という、わかったようでよくわからない単語が飛び交うようになると、皆「いま何が起こっているのか?どうしたらいいのか?」が見えなくなってしまいます。
頭の中にはモヤモヤっとした想いや認識があり、お客様も誰かと話したいのですが、まだよくわからないうちに売り込まれたくはないという状況です。

深い対話で「知的な楽しさ」を提供する

 ディスカッションは、単なる雑談とは異なります。
マスクして雑談してもマスクなしのときほど楽しくないですし、オンラインでの雑談は盛り上がりません。
オンライン商談の普及は、「お客様とのワクワクするような会話とは何か」を、営業に考えさせるきっかけをくれました。
画面越しでも、熱いテーマ、没頭する議論、深まる対話は十分にできます。

 お客様の志向も、「自分がこの営業から買いたいかどうか」というより、「この相手と話したいかどうか」の軸に移ってきています。
ディスカッションは、ヒアリングから提案へのリニアな流れを必ずしも意味しません。
イシューがあり、あっちに行ったりこっちに行ったりするもので、そこには「知的な楽しさ」があります。

営業は「知的創造活動」の時代へ

 ノリやキャラでは売れなくなり、くり返し電話しても繋がらなくなり、足繁く通うこともなかなかできなくなりました。

 そんな中で、これからの営業は「知的創造活動」の時代へと向かいます。
それを表すキーワードが「ディスカッション営業」です。お客様と共に創り出す議論ができるか、深い対話ができるかということが重要になってきます。

 
 
 

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高橋浩一