「小さなYesを積み重ねる」の本質
有名ですが誤解されがちな営業のテクニックに「小さなYesを積み重ねる」があります。
単に「Yesと答えやすい質問を投げかけていって最後にクロージングをかける」という風に使われがちですが、それだと単なる表面的な話法に過ぎません。
本質は「お客様がすべき意思決定をきちんと分解できるかどうか」にあります。
本当に突き詰めるべきこと
巷には「心理学を応用した営業テクニック」が溢れています。
SNSやYoutubeでは、注目を集めるために「心理学を使えば、お客様は簡単に動かせる」というメッセージが飛び交っています。
しかし、ちょっとした心理学のTIPS程度で取れる受注が増えても、お客様層の質が下がるだけですし、真にお客様を理解することから遠ざかっていってしまいます。
大きなお金を使う意思決定は、そんな簡単にはできません。
それに対して「Yesの回数を増やしていけば、クロージングにYesと言ってもらえる確率が上がるだろう」と考えていては、意思決定の基準を理解することはできません。
大事なのは「お客様はなぜすぐに意思決定できず、迷うのか?」を突き詰めることです。
意思決定のネックと対応策
接戦状況を問う質問が「お客様はなぜすぐに意思決定できず、迷うのか」の理解につながります。
そもそも、接線状況を問う習慣がないと、「お客様が迷っているかどうか」すらわかりません。
「すぐ決まらないとすると、何がネックなのか」を明らかにすることで、お客様の意思決定基準を分解して捉えられます。
お客様の中にあるネックの一例
お客様の課題が整理されきっていない
お客様の社内では人によって認識が異なる
他社からの提案をまだ受けておらず比較できない
ここで行うべきは、以下の3つです。
①ネックをお客様と一緒に確認・整理すること
②「順序」と「重み」を考えること
③意思決定に向けて伴走すること
ネックをお客様と一緒に確認・整理することなく判断を迫ると、「いったん冷静に考えて検討しますのでお待ち下さい」と言われてしまうでしょう。
また、1つ1つ闇雲につぶしていこうとするとキリがなくなります。
言わずもがな、営業のペースで押し切ろうとすれば、お客様は防御的行動を取るため、丁寧なプロセスが必要です。
冒頭の「小さなYesを積み重ねる」に戻りましょう。
①お客様に合意いただきたいことを「小さなYes」に分解する
②どんな順番に合意頂くのが良いのかを考える
③大きくて難しい合意は、さらに分解する
これらをお客様と二人三脚で進める「小さなYesが積み重なった会話」というのは、これらの結果に過ぎません。
営業にとっての一番のリスクとは
営業の世界には、「イエスセット」「フットインザドア」「ドアインザフェイス」など、心理学用語が飛び交っています。
しかし、表面的なテクニックでお客様を動かすことしかできないと、真に良いお客様には出会えません。
営業としてはこれが一番のリスクです。
心理学は、あくまでも「お客様を理解する」ために使いたいものですね。
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