営業の製品知識をレベルアップさせる方法

 今日のテーマは、製品知識の身につけ方です。

 まずは下図をご覧ください。
こちらは、私の会社から若手の方々に対して、テスト形式でトレーニングをしたときに使用したものです。

 
 

 このテストはGoogleフォームのアンケート形式で行っていて、入社の年次や経験に応じてヒントの有無を分けています。

 一番上のところに「【4】人事マネジャーからの相談」というお題があります。
その下にある「※」の部分がヒントですね。
縦軸にQ2「選択肢付きクローズドクエスチョンで質問して下さい」や「想定する返答はどのような内容でしょうか?」などとあるのが問いかけの内容です。

回答を一覧で比較できるテスト形式

 製品知識を身につけたいときに、多くの会社では暗記テストやロールプレイを行います。

 記入式テストで「覚えているかどうか」を問うことの問題は、知識を覚えるだけでは使いこなせないということです。

 またロールプレイについては、実施すること自体に結構な時間がかかりますので、人数が多い場合などはなかなか大変です。
さらに若手の方本人からすると、どのくらい自分が身についてるのかが客観的にわかりにくく、自分の上達のための道筋が見えづらいという問題もあります。

 そこで「みんなの回答内容を一覧で比較できる形式」というのをおすすめしたいのです。
縦軸にいくつか項目があり、横軸にはその回答が並びます。

 上の図では4人分の回答が入っています。
背景色が少しずつ違うのは、採点基準を設けていて、それにしたがって合格/不合格をマネジャーが色付けしたものです。

縦軸(問いかけ)のポイント

 このテストは「書くロールプレイ」です。
口頭ではなんとかなる部分も書くとごまかしが効かないのですよね。
しっかり言葉にできないといけないのです。
つまり「ちゃんと文章に落とし込めるか」という点を一つの基準にしています。

 「想定する返答はどのような内容でしょうか?」という質問は、お客様のリアクションを書く問題です。
この問いの意図としては、一方的に説明するだけではなく、どういうツッコミや質問が来るか、どういう反応がありそうかを想定してもらう練習をしてもらうことですね。
疑問や反論を織り込んだコミュニケーションがあるかないかで、格段に変わってきます。

 さらに「その返答に対してどのような資料を提示しますか?」と、あらかじめインタラクティブなやりとりを想定したテストにしています。
会話のキャッチボールを前提とした「書くロールプレイ」ということですね。

横軸(回答一覧)のポイント

 回答を見ると当然人によってレベルが違うので、それをカラーの違いで表しています。
この「横並びでいろんなレベルの回答を混ぜる」というのが大きなポイントです。

 例えば、入社したての新卒若手の方もいらっしゃるとすると、新卒の方が何か現実的に目指せるレベルを具体的に提示するのはなかなか難しいものです。
いろんなレベルの先輩の回答を横並びで見せてあげると、「まずはこのぐらいのレベルまで出すことが必要なんだな」というのが見てとれますよね。

 また話すロールプレイで順番にやっていくと、人数分の時間がかかるうえに、他の人がやや手持ち無沙汰になってしまうことがあります。
書くロールプレイでは「よーいドン」で回答をスタートするので、時間がかなり短縮できるという利点もあります。

まずは一問一答レベルから

 ただし、この縦軸・横軸をそのままやろうとすると、最初は少し難しいと思います。

 最初は一問一答レベルでいいのです。
例えば「こういうお客様がいたら、どういうふうにリアクションしますか」といった問いでスタートしていただくことがおすすめです。
まずはシンプルにすぐ答えられるような一問からはじめて、徐々に双方向にして、相手のリアクションを想定していきましょう。

 一問一答レベルでも構わないので、「相手のリアクションを考えて書く」という作業が、製品知識のレベルアップにおいてはとても重要なのです。

若手には具体的な指導を

 若手の方は、お客様の想定外の返答に慌ててしまうことが多いのですが、「どのくらいまで想定しておいたらいいか」というのは、抽象的に指導されがちです。
例えば、マネジャーの方が若手の方とロールプレイをして、若手の方がうまく返せないと「何かちゃんと考えておかなくちゃダメだよ」「絶対突っ込まれるよ」といった感じです。

 その指導で終わらせてしまうとどうしても再現性は上がりません。
具体的に、どんな台詞でどう返すのかというところまでを指導してあげると格段にレベルが上がります。
そのためにもぜひ「書くロールプレイ」を試してみてくださいね。

 

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高橋浩一