営業育成の鍵は合格基準の作り方と使い方

 新人・若手営業のレベルアップを図るため、ロールプレイや勉強会に力を入れる会社が増えました。
一方で、「育成に取り組んでいるが効果が出ない」というご相談もいただきます。

 育成施策に取り組んでいても効果が出ないときは、「手段が目的化する罠」にハマっている可能性があります。

  • ロールプレイを週にX回やる

  • 月にX回、チームで勉強会をやる

といったように、やること自体が目的になっていませんか?

育成施策に効く「合格基準の作り方と使い方」

 こういった育成施策を運用する上では、「知識やスキルが上がると、何ができるようになるはずなのか」を明確にしておく必要があります。
鍵となるのは「合格基準の作り方と使い方」です。

(1)合格基準をビジュアルで示す
(2)合格基準を言語で示す
(3)基準をクリアするためのテストを作る
(4)基準のレベルを階段で表現する
(5)基準をクリアした人が教える側に回る

 (1)〜(3)は『無敗営業 チーム戦略』に書いた「型のグー・チョキ・パー」に相当します。(4)と(5)があるとさらに効果的です。以下、各項目ごとに解説していきます。

(1)合格基準をビジュアルで示す

 例えば、商品知識の勉強会なら「この商品知識がきちんと頭に入っていて、お客様へ自分の言葉で伝えている商談はどういうものか」の動画を投影することをおすすめします。

 商品知識を「覚える」のと「使う」のとでは雲泥の差があるので、お手本の具体的な動画サンプルがあると学習効果が上がります。

(2)合格基準を言語で示す

 合格基準のビジュアルを動画で見ても「何がポイントなのか」をすぐ咀嚼できるかどうかは人によって分かれます。
そこで「どんなチェックポイントをクリアする必要があるか」を、プロセスと箇条書きで表現しましょう。
箇条書きにしておくと、「できた」「できない」を確認しやすくなります。

 
 

(3)基準をクリアするためのテストを作る

 合格基準を作ったら、実際の商談でできるレベルになるまで勉強・練習する環境を整え、「合格するまで挑戦するテスト」を作ります。
よく、商品知識勉強会の後に「暗記テスト」をやっている場面を見かけますが、暗記テストだけやっても、商談では話せるようになりません。

(4)基準のレベルを階段で表現する

基準のレベルを、商品知識の例で説明すると、

LV1:正しくお客様に伝えられる
LV2:自分の言葉で伝えられる
LV3:会話のキャッチボールをしながら伝えられる
LV4:お客様が懸念や不安を示す質問をしても、納得感深く回答できる
LV5:後ろ向きなお客様が買いたくなる「引きつけポイント」を狙って作れる

という感じになります。
このように、段階に分けて表現しておくと次に目指すものがわかりやすくなりますね。

(5)基準をクリアした人が教える側に回る

 合格基準をクリアし、体現できるようになったメンバーは講師側にシフトしましょう。
特に効果的なのは「自分もこの基準をクリアして成果を出せるようになった。だから、これに取り組もう」と言える人間が、教える側に回ることです。
実際の商談で効果を感じている人のメッセージは、若手にも響きます。

 

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高橋浩一