営業データを活用するための3つのポイント ③三位一体の総力戦
私は今まで3万人以上の営業の方を支援してきました。その中で「データがうまく使えない」という声をとてもよく聞きます。
データを上手に活用できるようになると、営業効率は飛躍的に上がります。
では、データを上手に活用するにはどうしたら良いのでしょうか。
データを活用するための重要な3つのポイントのうち、今回は2つ目「エースの方を活かし、組織全体を強くする3ステップ」についてお伝えします。
前回までの2回で、接戦への「組織の感度」と「エースの方のリソースを、メンバーの育成に活用すること」についてお伝えしてきました。
営業データを活用するためには、組織ぐるみでエースの方を増やしていく必要があります。
つまり、メンバーの行動やプロセスのKPIを見て、行動の量や質を上げていくことが重要です。
そしてそれを実現するためには、前提となる「使えるデータ」がきちんとシステムに入っている必要があります。
重要な情報を検索できる「文化」を作るために必要な、組織としての取り組み体制
以前、営業データやシステムを上手に活用されている会社へお伺いした際、そのシステムの使い方を少し見せていただいたことがありました。
意外なことに、1時間ほどの間、一番使われていた機能は「検索」でした。
しかし考えてみればこれは当然のことだったのです。
確かにシステムには、接戦に関する重要な、お宝とも言える情報が膨大に眠っています。
経験の浅い営業の方にとっては「勝ち方のヒント」になる重要な情報です。
そのような大事な情報がきちんとシステムに入っていて検索できる「文化」が根付いていれば、会社としてとても強い組織になります。
それを文化にするためには、事業トップの方、現場のマネージャーの方、そして企画部門の方、三位一体となり組織ぐるみで取り組んでいく必要があります。
①事業トップの方は”絞る·決める·伝える”
アンテナが鋭いトップの方は、システムに膨大なデータが入っていたとしても、ピンポイントで課題や注目すべき情報を見つけることができます。
そして、それが膨大な指示となって現場の方へ降りていきます。
しかし現場の方にしてみれば、情報が増えれば増えるほど混乱してしまいます。
そこでトップの方は、「課題とKPIを絞る」ということを意識することが重要です。
例えば、なかなか受注が増えないという課題がある場合。
トップの方が「提案件数や受注率、受注件数に重みを置く」と宣言するだけで、ミドルマネージャーの方々の仕事がだいぶ楽になります。
あるいはその手前の段階で、案件数が増えないことが課題であれば、「訪問件数、案件化率、提案件数を見ていこう」というように、KPIを絞ります。
「どこを見るか」を絞り、そして同時に基準を決めていきます。
受注や売り上げの目標は既に決まっているはずですが、その手前の訪問件数や見積額、受注率など「先行指標」の基準は個々人で様々です。
・成績順に並べたときの、真ん中の人
・全員の平均
・トップの方が決めた数字
など、この基準となる部分をトップの方が決めると、営業活動がスムーズに動きます。
そして同時に、「全てに入力できなくても、最低限このタグが付いているものだけは、BANT情報を入れる」など、システムに入力する最低限のラインを決めておきましょう。
そうすることで、組織に対する意義付けが浸透しやすくなります。
このラインがないと、「項目がたくさんありすぎて入力しきれない」という言い訳に対して、現場のマネージャーが指摘しづらくなってしまいます。
トップの方は、「決める」「絞る」そしてそれを「伝え続ける」ということが大切です。
②現場マネージャーの方はデータを活用した育成を行う
トップの方が定めた焦点となる課題に対して、現場のマネージャーの方はどう育成マネジメントしていけばいいのでしょうか。
過去の成功体験からのみ指導していると、どうしても若手の営業の方とギャップが生まれ、適切なアドバイスができなくなります。
そこでデータを活用して、それぞれのタイプ別に育成していくことが必要です。
<Dゾーンの方には>
まずはスモールステップで「商談記録がきちんと書けているか」を見ていきます。
商談の詳細を見れば、その商談の内容がどこまでわかっていて、何がわかっていないのかを知ることができます。
ここがある程度のレベルに達したら、行動の量を増やしてBゾーンを目指すなど、次の段階へ進めていきます。
<Cゾーンの方には>
必要な行動量を指導する必要があります。
具体的な指導をするためには、正確な受注率のデータや、リストに対してアクションが取れているかどうかの情報が必要です。
いわゆる「隠し玉」のような案件を生まないためにも、まずは正確なデータ入力を徹底します。
<Bゾーンの方には>
接戦の受注分析が効果的です。
このタイプの方は、接戦における失注、受注の情報を多く見て分析することによって、学習しながら成果を上げていくことができます。
<Aゾーンのエースの方には>
他の方の成果をあげるために、力を借りましょう。
特に接戦案件の失注、受注の情報をきちんと入力してもらい、他の方が参考にできる状態にしておくことが重要です。
③企画部門の方は模範エースに注目してPDCAを回す
営業の方のタイプによって指導方法を変えていく、というお話をしましたが、これをマネージャーの方が推進しようと思っても、なかなか日々の忙しさで実行できないこともあると思います。
そこをサポートするのが、企画部門の方です。
忙しい営業現場では、データがなかなか入らず、正確な数字が割り出せないことがあります。
どんどん要望を出すトップの方と、忙しい現場の方の板挟みになってしまうこともあるでしょう。
しかしここで企画部門の方が「受け」に回ってしまうと、施策のPDCAが回りづらくなってしまいます。
受けではなく「攻め」に回り、事業トップに対して「こういうことをやっていきましょう」と仮説をどんどん提示していけるかどうかが重要です。
では頂点にいる事業トップの方が納得するような仮説は、どのように作ったらいいのでしょうか。
注目したいのは、やるべきことやって成果が上がっている「模範エース」です。
このような模範エースの方が一体何をやっているのかを知る必要があります。
成果の要因は何なのかを具体的に探るために、営業会議に同席したり、商談に同行させてもらうなどすると良いでしょう。
何かのアクションを義務付け、浸透させるためには、企画の方がきちんと現場を見ていて、裏付けを示すことができる必要があります。
成果を上げているチームや人が、営業会議や商談でどんな情報をどれくらいのレベルで確認しているのか、見積りを出す前にどこまでの情報を確認しているのか。
そういったことを把握し、裏付けできれば、KPIやアクションの意味付けが変わってきます。
もし施策がピタッとはまると、「やることをきちっとやっていれば成果が上がる、やっていないと上がらない」という状態になり、PDCAを回していけるようになります。
この状態にどうやって持っていけるかが、企画の方々にとっての肝です。
<本日のポイント>
組織ぐるみで「使えるデータ」がきちんとシステムに入っている文化にするために「三位一体の総力戦」を意識する。
・トップの方が絞って決めて伝える
・マネージャーの方はデータを活用して育てる
・企画の方は模範エースに注目し、PDCAを回す
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