営業データを活用するための3つのポイント ①焦点を当てるべき、ひとつのキーワード
私は今まで3万人以上の営業の方を支援してきました。その中で「データがうまく使えない」という声をとてもよく聞きます。
データを上手に活用できるようになると、営業効率は飛躍的に上がります。
では、データを上手に活用するにはどうしたら良いのでしょうか。
まず、大切なのはデータが”使える状態”で入力されていることです。
使える状態というのは、注目すべき情報がしっかりと入力されている状態です。
営業における注目すべき情報は、本ブログでも何度も重要性をお伝えしている、接戦案件になります。
接戦案件に関するデータは非常に重要になるので、ここを「使える」状態でシステムに入れられる文化を作れるかどうかがポイントです。
これから3回に分けて、データの活用についてお伝えしていきます。
接戦案件については、こちらの記事をご覧ください。
→ 「勝率アップの近道は、接戦案件にあり」
勝つためのキーワードは「接戦の強さ」
営業が強い会社は、「接戦の強さ」にとてもこだわっています。
非常に営業が強いことで有名なとあるメーカーには、会社に監査部という部署があります。これは会計監査をする部署ではなく、営業の方々の生産性について見ている部署です。
ここでは、楽して数字が上がり過ぎてしまっているメンバーに対して、目標をより高くしたり、若手のメンバーにお客様を譲り、少し厳しいリストを担当してもらうなど調整しています。
逆に惨敗ゾーンで苦しんでる新人の方には難易度の低いリストを供給するなど、きめ細かに対応することにリソースを割いています。
つまり、全員が「接戦」の状態で戦う状態をつくり、どんどん筋力を上げている状態です。
このようなお話をすると、「いや、接戦にさせないのがマネジメントではないですか」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
しかし、「接戦にさせない」ことと、「接戦を避ける」ということは違います。
「接戦にさせない」というのは、メンバーの力を引き上げたり、強力な支援をしたりすることで、「かつては接戦だったところを楽に勝てるようにする」ことです。
そうすると、かつて惨敗だったものが接戦に持ち込めるようになったりします。
「接戦を避ける」というのは、「限られた楽勝のマーケットだけで戦う」ということです。
この戦い方では、メンバーの力を上げていくことは難しいでしょう。
では、この接戦における強さはどのように上げていけばいいのでしょうか。
まず、接戦とはお客様が何かしら迷ってる状況です。
どちらの会社に発注しようか、本当に今やる必要があるのか、あるいは「それ社内でできない?」と突っ込まれたときにどうしようか…と。
このようなお客様の悩ましい状況に対して、しっかりと意思決定を支援できることが「接戦の強さ」になります。
接戦を勝つためにデータを活用するには、組織の感度が重要
ほとんどの営業の方は受注が決まったとき「なぜ当社に発注していただいたんでしょうか」と理由を尋ねます。
しかし、理由というのは主観の情報です。聞かれたお客様は「トータル判断で」「費用対効果で」など、それっぽい答えをくださるものの、本当に知りたいのはその正体です。
「途中まで迷われていましたが、どの瞬間に決まったのでしょうか」など、理由だけではなく、決定した場面で何が起こったのかという「事実」を聞いてみましょう。
もしそれが「ちょうど御社のプレゼン直後に決まったんですよ」ということであれば、まさにそのプレゼンにポイントがあったということになります。
あるいは「実は他社さんからも提案があったんですが、これは違うねということなりまして」と言われることもあるでしょう。この場合は、いわゆる消去法です。
こんなに頑張って提案を考えたのに…と思うかもしれませんが、そこで必ず「競合がどんな地雷を踏んだのか」を確認すれば、それを後に活かすことができます。
「上司の一声で決まりました」ということであれば、それがどんなセリフだったのかを確認しましょう。
「会議で議論して決めました」ということであれば、その会議の参加者がどなただったのか聞いてみます。
「私自身が提案書を見比べて決めました」という場合もあります。
そのようなときにはすぐさま提案書を取り出して、「決め手になったのはどこですか」と、ページ数まで確認したいところです。
そのページにはとても大事な情報が入っていることになります。
こういった情報にアンテナを立て、着々と貯め続けている会社と、全くそれを見ず「お客様は結局価格で決めるよね」と考えている会社とでは、当然大きく差が開いていきます。
すべてのデータを完璧に入れようとするよりも、とにかく接戦に対する組織の感度を上げていくことが、データの重みや意味を大きく左右してくるということです。
接戦を勝たせるために必要なデータ
では、接戦を勝たせるために必要なデータとは、どんなものがあるでしょうか。
まずはその案件が接戦であるかどうかを判断する「接戦のサイン」のデータです。
このサインはいくつかあります。
ひとつは案件の発生ルートです。
既存よりも新規のほうが当然接戦になりやすくなります。
次に検討のタイミングです。
まだ予算がない状態よりも、予算が発生したタイミングの方が接戦なりやすいと言えます。
そして、当然のことながら競合がいるのであれば接戦になるでしょう。
これらの「接戦のサイン」が確認できたら、次はいわゆる「BANT情報」を確認し、入力します。
そしてそれに対するネックや次のアクションを追いかけていきます。
組織の中で「もし接戦だった場合にはこの項目は必ず入力する」という合意がしっかりとなされていれば、入るデータの意味が違ってきます。
そのため、接戦の重要性が組織で理解されていることが非常に大切です。
組織の感度を上げるためには
営業会議ではよく「読み会」といわれる、数字の読みを見る会議があると思います。
もちろん読みは重要ですが、同時に振り返りもとても重要です。
接戦で決着がついたとき、主観を含む何となく曖昧な情報ではなく、
・その場面
・事実として何が起こっていたのか
・どんな経緯で進んでいたのか
・誰が何をしていたのか
このようなことを確認し、システムに入力するようになると、だんだん決着に関する要素がクリアになっていきます。
この振り返りが行われないと、失注したら責められ、受注をしたらほめられる、という事だけになりがちです。
もちろん、受注は大いにほめられるべきですが、接戦で受注できたお客様というのはお宝の宝庫なので、発注の理由の後には必ず決定場面を確認しましょう。
そこには自社が苦しんでるポイントについての重要なヒントが眠っています。
さらにはそのお客様が、「どんな課題を解決してくれると認識してくださっているのか」「他社とどういう違いを感じてらっしゃるのか」などの情報はとても重要です。
失注に関して詳細なレポートを社内でやり取りし分析していた会社で、受注した案件についても同じように詳しく報告するようにしたところ、業績が上がったという例もあります。
接戦を受注できたときに「何が起こっているのか」という情報を、きちんと信頼できる情報として流通させていくと、なかなか成果が出ない方にとっての重要なヒントになり、その情報に対する組織の感度が上がっていくことになります。
入力されたデータが活かされるかどうかについて、接戦への「組織の感度」が1つ目のポイントになります。
そして、その接戦について非常に重要な情報を握っているのは営業のエースの方です。
しかし、エースの方の話になると、どうしても「俗人化」の話が出てきます。
次回は2つ目のポイント、「エースの方を活かす」についてお伝えしていきます。
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